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法定後見(後見、保佐、補助)の「申立人」

 法定後見の申立をどのような人が行なうことできるのか、申立人となりうる人の範囲について説明します。

 そもそも法定後見は、本人の生活を守り支える制度であり、本人の利益のための制度です。

 したがって、本人の利益を考えるべき人が申立人となります。

 本人の利益を考えるべき人を、以下に具体的に挙げていきます。

 まず、当然に本人は自分のために法定後見を申立てることができます。

 通常は配偶者も本人の利益を考える人であり、申立人になることができます。

 また、本人の親族は赤の他人ではないので、一般的には本人の利益を考える立場にあります。したがって、親族も申立人となることができます。といっても、民法で定められている親族は範囲がかなり広くて本人に関わることが有り得ない人まで含まれていることから、法定後見の申立てを行なうことができる親族は、より狭い範囲に限定されています。その範囲は、4親等内の親族(4親等内の血族と3親等内の姻族が含まれます)です。

 これらの人たち以外には、本人が既に法定後見を利用しており、例えば補助から後見にというように他の類型の制度を申立てるときは、現在就いている補助人や補助監督人は本人の利益を守ることが任務ですので、申立人になることができます。

 同様に、本人が任意後見を利用している場合で、法定後見を申立てようとするときは、任意後見人や任意後見監督人は申立人になることができます。

 以上のような関係者が申立てを行なうことができない場合で、本人が住む市区町村の長が「福祉を図るため特に必要があると認めるとき」は、市区町村長が申立人となることができます。

 さらに、市区町村長が申立てを行なうことができず、しかし本人のために申立てが必要なときには、最終手段として、検察官が公益の代表者の立場で申立人となることができます。

 

◇民法7条、11条、15条第1項に規定される申立人◇

 本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、後見人、後見監督人、

 保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官

 

◇任意後見契約に関する法律第10条第2項に規定される申立人◇

 任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人

 

◇老人福祉法第32条、知的障害者福祉法第28条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第51条の112に規定される申立人◇

 市区町村長