行政書士って、一体何が専門の士業なの、と聞かれることがあります。
自分が携わっている業務に限定するならば、例えば、申請取次業務と成年後見・遺言・相続業務を行なっています、とお応えすることはできます。しかし、これは行政書士の業務の極々一部に過ぎません。これらと全く異なる業務に携わる行政書士は数多く存在します。
すなわち、行政書士は業務が非常に広範囲であるがゆえ、行政書士はこれが専門の士業、と一言でお応えするのが難しい士業なのです。
それでも、大きく一括りに行政書士は何を専門とする士業であるのかを言葉で表すならば、次のように言えるのではないかと考えます(個人の意見です)。
『行政書士とは、書類作成についての相談にお応えすること、それらの書類を作成すること、書類提出手続を行なうことを業務とする専門家です。』
強引に業務を一括りにしましたが、書類といっても世の中にはいろいろな書類があります。行政書士が業務として取り扱う書類は、3種類に分けられます。
(1)官公署に提出する書類……在留許可申請書、建設業許可申請書等
(2)権利義務に関する書類……契約書、遺産分割協議書、内容証明等
(3)事実証明に関する書類……親族関係説明図、遺言書原案等
さらに、(1)(2)(3)の説明を加えて参ります。
(1)の「官公署」とは、国や地方公共団体の機関を言います。ただし、裁判所、検察庁、法務局、地方法務局宛の書類作成は司法書士の独占業務であって、行政書士の業務には含まれません。
(2)の「権利義務に関する書類」とは、意思表示その他手続行為によって、権利・義務を発生・変更・消滅させる法効果にかかわる書類で、財産関係や身分関係の民事書類を含むものです。
(3)の「事実証明に関する文書」とは、社会で証明することが必要な事柄について、その事柄を証明するために作成する文書を言います。具体的には、権利義務の確認や、権利義務の形成準備の書類です。
私たちの日常生活においても、文書が必要とされる場面は多々あります。そして、それらが(1)(2)(3)に当たる文書を必要とする場面であるときは、行政書士の活用をお考え頂けるならば幸いです。