2020年7月10日から、法務局による遺言書保管制度が始まりました。現在までに、利用はどの位進んでいるのでしょうか?
法務省民事局の公表によれば、2020年7月から2021年2月までの約8か月間の遺言書保管申請数合計は15,096件、うち保管数合計は15,033件です。
月別の申請数と保管数は以下の通りです。
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遺言書保管申請数 |
遺言書保管数 |
2020年7月 |
2,608 |
2,586 |
2020年8月 |
2,362 |
2,354 |
2020年9月 |
1,978 |
1,969 |
2020年10月 |
2,263 |
2,255 |
2020年11月 |
1,694 |
1,693 |
1,726 |
1,719 |
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2021年1月 |
1,178 |
1,175 |
2021年2月 |
1,287 |
1,282 |
累計 |
15,096 |
15,033 |
この制度が始まる以前は、遺言書の確実な保管が約束されるのは、公証役場で作成する遺言公正証書が主なものでした。
日本公証人連合会の公表によれば、2014年以降2019年までの間、遺言公正証書の作成件数は、毎年10万件を超え続け、2016年から2019年まで件数は増加の一途でした。しかし、2020年の年間作成件数は、97,700件となり、2019年の113,137件を下回っています。毎年一律に遺言書作成需要があるとは限りませんが、2020年7月開始の法務局による遺言書保管制度が、遺言公正証書作成件数に影響を与えているとも考えられる数字です。
遺言書の保管方法の選択肢が増えたことによって、ひとりひとりのニーズに合わせ易くなっているため、今後、個々の方法の周知が進めば、法務局による遺言書保管制度の利用も、公証役場による遺言公正証書の利用も増加していくのではないでしょうか。